
ども、がく(@oskgaku)
です。
ガンプラのスミ入れで心配なのが、
エナメル塗料を流し込んだパーツが割れてしまうのではないか?
という事。
そこで、今回は乾燥時間が速くパーツの割れる心配が少ないと評判の、ガイアノーツの
- エナメル塗料ブラック
- 速乾性エナメル系溶剤


をゲット。
これと、タミヤのエナメル塗料、とどちらが割れやすいのか試してみた、という話です。
先に結果。以下の通りです。
- スミ入れ塗料(タミヤ)
- エナメル溶剤(タミヤ)
- エナメル塗料(タミヤ)
- エナメル塗料(ガイアノーツ)
- エナメル溶剤(ガイアノーツ)
- 速乾性エナメル系溶剤(ガイアノーツ)
詳細等、順番に書いていきますよ。
目次
エナメル塗料とは?

まずはエナメル塗料とはなんぞや?という事から説明していきます。
特徴は以下の通り。
- 伸びが良い
- 発色が良い
- 乾燥が遅い
この特徴から、以下の用途に使われることが多いです。
- 筆塗りに便利
- パーツの部分塗装に便利
- スミ入れに便利
まぁそのあたりの事は、過去に書いたタミヤのスミ入れ塗料のレビューでも触れてますから、もしよろしければご一読くださいませw
エナメル塗料といえばタミヤ
エナメル塗料の代表的なものといえば、やっぱりタミヤのエナメル塗料。
▲この小さな瓶。模型屋さんとかで一度は目にした事があるのではないでしょうか。
このエナメル塗料の使い方としては、先述したとおり、その特性を活かしてカーモデルやオートバイのプラモデルの、小さな部品をピンポイントでちょいと塗る、など。
例えば、私が以前に作ったオートバイのプラモデル「Ninja H2 CARBON」
説明書を見ると、塗装の指示でエナメル塗料が記載されております。
▲こういう小さいパーツの塗装なんかにエナメル塗料が便利
「Ninja H2 CARBON」の説明書は色を指定してくれているので、塗装する時にはありがたい。
▲最初に「X」がついてるのがエナメル塗料(だよねw)
パーツが割れる原因1)
エナメル塗料の溶剤
さて、本題のエナメル塗料を塗るとパーツが割れてしまうのでは?という問題。
そもそも、なぜエナメル塗料を塗ると割れてしまうのか?
その主な原因はエナメル塗料を薄める「溶剤」にありそうです。
エナメル塗料についてWikipediaで調べてみますと、以下の記述。
事実上、国産唯一の模型用エナメル塗料である。アクリル塗料より筆の伸びが良く発色も良好、また乾燥時間が長いのでムラが出にくく、綺麗な光沢面が出せるが、耐候性に弱く塗膜が剥がれやすい。下地に塗ったアクリル塗料の塗膜にほとんど影響を与えないので、重ね塗りが簡単である。また溶剤で粘性がなくなるくらいに薄めた塗料を流し、模型の凹凸を表現するスミ入れ(ウォッシング、シェイディング)にも良く用いられ、スミ入れ塗料用として予め薄められた専用品も4色ほどある。ただしガンプラ等のスミ入れに使用した際に、溶剤の浸透によりプラスチックが劣化し、ひびが入る等の事態も生じている。
「溶剤の浸透によりプラスチックが劣化」
化学的な理論を理解するのは難しそうですが、ユーザーとしてはこれだけわかれば十分。
エナメル塗料の溶剤の使用量に注意すれば、割れる事態は避けられそうです。
パーツが割れる原因2)
テンションのかかっている箇所
エナメル塗料を塗って割れやすい要素として大きいのがもうひとつ。
一般的によく言われているのが、
「テンションがかかっているところに、エナメル溶剤を流し込むと割れてしまう」
という事。
テンションとは?
「テンション」をWikipedia先生で調べますと、以下のように記載されております。
・物理において、張力(引っ張る力)のこと 引用-テンション – Wikipedia
一般的に考えて、強い力が加えられている箇所は、その力だけで割れてしまう負荷がかかっています。
そこへさらに割れてしまう要素(ここではエナメル溶剤)が加われば、割れやすいのは当然の道理。
エナメル塗料は割れるのか?検証概要
ここからは、プラスチックパーツの割れに関する検証を行います。
【実験内容】
テンション(張力)がかかった状態のプラスチックパーツを対象に、以下の2つをそれぞれ塗布します。
- エナメル塗料
- エナメル溶剤
【検証の目的】
エナメル塗料とその溶剤のどちらが、パーツの割れを引き起こす主な要因になるのかを調べます。
【実験の工夫点】
割れやすい状態の「テンションがかかったパーツ」を使用することで、原因をより明確に特定しやすくなります。
【塗料と溶剤の種類】
検証する塗料と溶剤の種類は以下のとおりです。
- スミ入れ塗料(タミヤ)
- エナメル塗料(タミヤ)
- エナメル塗料(ガイアノーツ)
- エナメル溶剤(タミヤ)
- エナメル溶剤(ガイアノーツ)
- エナメル溶剤速乾(ガイアノーツ)
検証1)
スミ入れ塗料(タミヤ)を塗ってみる
▲こちらはスミ入れ作業でおなじみのタミヤのスミ入れ塗料。
タミヤのスミ入れ塗料、こちらは前もってエナメル塗料をエナメル溶剤で希釈してある製品。
沈殿しているエナメル塗料を見るとよくわかります。
テンションがかかっているパーツに対して、スミ入れ塗料を塗りたくってみます。
こちら、1mm厚のプラ板を、2cmくらいの幅でカットしました。
そして、これをパーフェクトバイス1号に挟み込んでいきます。
▲1mmくらいしか締めこんでいませんが、かなりのテンションがかかっています。
かなりのテンションがあるので、すでに小さいヒビのようなものも薄っすら見えます。
▲画像は反射の関係で見えにくいですが、肉眼だと小さいヒビが入ってるのがよくわかります。
これ、やってみて思ったのですが、もしかするとガンプラなんかも、ハメるのがカタいパーツってのは、かなりテンションかかっていて、こんな具合に薄っすらヒビが入ってるのかもですね。
パーフェクトバイス1号で挟み込んでちょいと盛り上がった箇所に、タミヤのスミ入れ塗料を塗りまくってみます。
だいたい、筆で5回くらいは塗ってます。
塗って1分もしないうち、みるみるとヒビが大きくなっていきました。なんか、怖いw
▲いかにも脆くなっていくのがわかります。
10分ほど待ちまして、様子を見ていたのですが、これ以上の変化はなし。
しかし、パーフェクトバイス1号から取り外し、ちょっと様子を見たりして軽く曲げてみようとしたところ・・・。
▲いとも簡単にサクッという感じで割れてしまいました。
やはり、ただ塗っているのと、テンションがかかっている部分に塗るのでは、だいぶ事情が違うようですね。
スミ入れ塗料、普段はスミ入れにしか使ってないので、こういう事には気づきませんでしたねぇ・・・。

スミ入れだけでパーツが割れてしまう場合ってのは、よほどテンションがかかっていたか、スミ入れ塗料が多量なのか・・・。
検証2)
エナメル塗料(タミヤ)を塗ってみる
▲モデラーにお馴染み、タミヤのエナメル塗料です。
エナメル塗料の瓶の裏を見てみます。
▲成分には、有機溶剤と記載されています。
エナメル塗料自体にも、溶剤は入っているご様子。果たして大丈夫なのでしょうか・・・。
先ほどと同じようにパーフェクトバイス1号は挟み込んで、タミヤのエナメル塗料を塗ってみます。
▲先ほどと同様に、5回塗りつけました。
見た感じ、特に割れるような気配はありませんねぇ。
ちょっとしか塗ってませんが、塗料の伸びが良いので筆ムラも目立ちません。
パーフェクトバイス1号からプラ板を外してみます。
色々触った感じでも、特に割れる気配はありません。
タミヤのエナメル塗料だけを塗るなら、パーツが割れる心配はほとんどないのかもですね。

これを見ると、「エナメル塗料」に比べて、「スミ入れ塗料」の方が溶剤成分が多いことがわかりますね。
検証3)
エナメル塗料(ガイアノーツ)を塗ってみる

今度やタミヤ製品ではなく、ガイアノーツ製品。
特徴としては、ガイアノーツのエナメル塗料は乾燥時間が早いご様子。
伸びがよく、筆ムラになりにくく、光沢感があります。乾燥時間が速いのもガイアエナメルカラーの特徴です。
引用-ガイアノーツ – エナメルカラーシリーズ
乾燥が速いのであれば、含まれる溶剤も速く揮発するということ。
それであれば、パーツが割れるリスクは大幅に減らせます。
こちらもパーフェクトバイス1号にプラ板を挟んで、塗りつけてみました。
結論としては、タミヤのエナメル塗料と同様で、特に割れる事などはありませんでした。
触ってみても、脆くなったりはしてないご様子。
ガイアノーツのエナメル塗料はタミヤとはまた違った特徴(乾燥時間が速い)があるので筆ムラが出やすいのか?そうでもないのか?それを試すのもアリですね。
検証4)エナメル溶剤(タミヤ)を塗ってみる
▲さぁ、問題の溶剤ですw
これをダイレクトに、テンションのかかったプラ板に塗ったらどうなるか?
こちらも今までと同様に、パーフェクトバイス1号にプラ板を挟み込みます。
そして、筆で5回ほど塗りつけます。▲塗った瞬間くらいに、ヒビが大きくなっていくのがわかります。
ふーむ、なるほど。これは確かに、溶剤だけだとプラを割ってしまうご様子ですね。
このプラ板を、パーフェクトバイス1号から取り外して触ってみると、簡単に割れてしまいました。
エナメル溶剤で希釈する時は、やっぱりこの特性に注意しなければなりませんね。
検証5)エナメル溶剤(ガイアノーツ)を塗ってみる
▲ガイアノーツの溶剤はどうでしょうか?
ガイアノーツのエナメル溶剤、webサイトを拝見しますと、以下のように記載されております。
通常の塗装にはもちろん、ラッカー系塗料で塗装した後にモールドに流しこむ、スミ入れでも活躍するエナメル系塗料。高品質で最適な配合の溶剤なので、プラが割れるといった現象はほぼありません。
引用-ガイアノーツ – T-05 エナメル系溶剤
公式のwebサイトで「プラが割れるといった現象はほぼありません」と記載されていると、安心感が増しますね(笑)
成分としては
ペトロールをベースにして適度な溶解力を得ることに成功しました。
引用-ガイアノーツ – T-05 エナメル系溶剤
ってな記載が。ぺトロール?
ググってみると、武蔵野美術大学さまのwebサイトにわかりやすい説明がありました。
油彩画の画溶液は、主に揮発性油と乾性油の2種類の性質があり、ペトロールは揮発性油に分類され、使用後に成分のほとんどは空気中へ蒸発する性質を持つと共に、樹脂成分などを溶解する性質もあります。
引用-ペトロール – ぺとろーる | 武蔵野美術大学 造形ファイル
揮発性の高い溶剤なご様子。
まぁここでは難しい話はひとまず置いといて、実際に割れてしまうのかどうか?ですね。
ガイアノーツのエナメル溶剤を塗ります。
▲なんだかんだで、たっぷり塗ってしまうw
見た感じ、さほど割れ目が広くなっていくような事もない。
パーフェクトバイス1号から外してみます。
▲割れてません。特に脆くなっている印象もない。
揮発性が高いのは、目視でもわかります(タミヤのよりも早い感じがします)。
乾いてしまえば溶剤がプラに浸透して割れる心配も少なくなるという道理。
これは助かります。
検証6)速乾性エナメル系溶剤(ガイアノーツ)を塗ってみる
▲さて、最後です。ガイアノーツの速乾性エナメル系溶剤。
速乾であれば、プラ板に溶剤が浸透しまくる前に乾いてくれるという事。これならさらに割れる心配はなさそうです。さぁ果たして。
▲塗った後、しばらくすると乾いていくのが見た目でよくわかります。
なんなら、塗りつけてすぎてしまったのですが、ヒビが大きくなっていく、というような事は見当たりませんねぇ。
パーフェクトバイス1号から取り外して、触ってみても脆くなっている感じはしません。
ガイアノーツの速乾性エナメル系溶剤であれば、パーツが割れる心配ってのはかなり少なそうですね。
まとめ

今回の検証結果をまとめると、以下の通りです(冒頭でも書いてますが)。
- スミ入れ塗料(タミヤ)
- エナメル溶剤(タミヤ)
- エナメル塗料(タミヤ)
- エナメル塗料(ガイアノーツ)
- エナメル溶剤(ガイアノーツ)
- 速乾性エナメル系溶剤(ガイアノーツ)
以下にスミ入れでパーツが割れないための注意事項をまとめてみました。
- エナメル塗料を溶剤で多量に薄めすぎない
- 溶剤で多量に薄めた場合は流し込みすぎない
- テンションがかかった箇所に流し込む時は要注意
- パーツをクリアーなどで保護してからスミ入れすると安心感増
- 組む前に(テンションがかかる前に)スミ入れしておく
補足1)
ABS樹脂へのエナメル塗料はNG

月刊モデルアートの2020年10月号で「特集:知って納得!スミ入れの作法」ってな特集をやっておりました。
その中で、長谷川迷人さまが、以下のような記載されております(一部抜粋させていただきます)。
例えばABS樹脂はエナメル溶剤で希釈した塗料によって脆くなり、場合によっては割れてしまったりします。
引用-月刊モデルアートの2020年10月号で「特集:知って納得!スミ入れの作法」
なるほど。エナメル溶剤とABS樹脂のコンボ、これが割れるパターンとしてのオーソドックスなようですね。
これについては私も雑誌やwebでよく見かけていました。
ABS樹脂に対しては、エナメル塗料の塗装は避けておいた方が無難ですね。
補足2)
エナメル塗料を使わないという選択肢
どうしてもエナメル塗料だと割れるのが心配!
という人には、シタデルカラーのナルンオイルという選択肢もあります。
水性塗料のシタデルカラーならば、パーツが割れる心配はないもんね♪
ガンプラ製作進捗やマテリアル紹介をツイート。
がく(@oskgaku)